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由紀

Author:由紀
劇場で見た作品のみレビューしてます。

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プリズナーズ
共感と恐怖の狭間で揺さぶられるモラリティ

原題:Prisoners
製作:2013年 米国、ドゥニ・ビルヌーブ 監督
出演:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、ポール・ダノ、マリア・ベロ、ほか
レート:★★★★☆

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アメリカ東部の小さな街で工務店を営むケラー(ヒュー・ジャックマン)は、愛する妻と二人の子どもに恵まれ穏やかな日を送っていた。どんよりとした曇り空で小雨がパラつくその日、ケラー一家は感謝祭を祝うために近所の友人宅を訪れ、夕食前の団らんを過ごしていた。そんな時、娘のアナが「おうちに置いてきた赤いホイッスルで遊びたい。取ってきていい?」と言い出した。自宅まで数十mの距離、ケラーは仕方なく「お兄ちゃんたちと一緒にならいいよ」と許可を出した。

それからひと時が過ぎ、アナと友人夫妻の娘がなかなか戻ってことに気付く。兄ラルフにアナが来たかと尋ねると「なんの話?」と言う。ケラーたちは急いで自宅や近所を探すも、アナたちは見つからない。そんな折、近所に停まっていた不審な車に乗っていた青年アレックス(ポール・ダノ)が逮捕される。誘拐を疑い問い詰めるも、物的証拠が一切見つからないうえに、知能障害をもつアレックスは10歳児なみの知能しかないと判定され、釈放される。警察にアレックスの拘留延長を求めるも却下されたケラーは、アレックスを犯人だと信じて疑わず、焦りからついにアレックスを拉致し、監禁してしまう・・。


DVDスルーされてレンタル屋のサスペンスコーナーの片隅でひっそり新作として並ぶ・・、ポスターやあらすじだけ見るとそんな凡作臭が漂うこの作品。いやいや侮るなかれ。終始張り詰めた緊張感と、ラストまで目が離せない展開で魅せる一級品の作品だった。

優しくて家族を愛する普通の良きパパだった男が、家族を失う瀬戸際に追い込まれた時、他人に対して悪魔のような仕打ちができてしまう、そんな人間の怖さが描かれている。本作のタイトル「プリズナーズ(囚われた人間)」のとおり、ケラーは父親を自殺で失った過去と、心の拠り所となるキリスト教への信仰に囚われてしまうのだ。

暗く湿った冬のアメリカ東部の硬質でモノトーンの映像が、不気味な誘拐事件が起きる舞台として見事に演出されている。カメラを回したのは、これまでアカデミー賞撮影賞に11度ノミネートされ、コーエン兄弟作品のほとんどの撮影を手がけているロジャー・ディーキンス。ドキュメンタリー出身のカメラマンらしく、被写体にじっくり寄り添う撮影法は各キャラクターの微妙な心情の変化をしっかり捉えている。

編集はジョエル・コックスとゲイリー・D・ローチという二人で、イーストウッド監督作品の専属編集チームとも言える存在の編集マン。観賞前は、2時間43分の長尺と聞いて相当いち場面いち場面を長めにしているんだろうなと思っていたが、実際はその逆で、端折れるところは端折り、テンポよくストーリーを繋いでいく編集が際立っていた。このテンポの良さのおかげで映画の長さを感じさせない作りになっている。

驚いたことに、脚本を書いたのはアーロン・グジコウスキという無名の脚本家。当初、人間の苦悩と狂気を描いた本作のテーマにどのスタジオもリスクを感じ、製作を尻込みしていた。ハリウッドの2009年版ブラックリスト(映画業界人が選定する未製作シナリオの優秀ランキング)に名を連ねていた本作を、ドゥニ・ビルヌーブが打診を受けて監督することになったという。

ビルヌーブは知る人ぞ知るという監督だが、人間が善と悪の感情の間で揺れ動く様を、地域性や信仰と結びつけて、サスペンスとして魅せる物語にするという離れ業をやってのける見事な腕を持っている。彼の前作『灼熱の魂』('10)もまた、ひと筋縄ではいかない胃もたれ感満載のミステリーになっているようだ。

こうした一流のスタッフに支えられ、本作では素晴らしいキャストが最高の演技を見せている。鬼になってしまうヒュー・ジャックマンはもちろん、孤独と過去のトラウマに溺れかけている刑事を演じるジェイク・ギレンホール。二人とも瞳の奥に真っ黒なものを抱えながら、必死にこの世にしがみつこうとしている"囚われ人"だ。

そして、ポール・ダノ。『リトル・ミス・サンシャイン』('06)、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』('07)、『それでも夜は明ける』('14)と見てきて思うのは、今年亡くなった怪優フィリップ・シーモア・ホフマンの後を継ぐのは彼しかいないということ。

変態を演じさせたら右に出る者はいなかったホフマンだが、突然のお別れのニュースには大きな衝撃を受け、それから数日間もうホフマンの演技を見れない喪失感に襲われていた。だが、今作のダノを見て、まだ若干29歳の彼なら間違いなくこの先30年間、俳優賞を総なめにしていくだろうと確信を持つに至り、ホフマンの後継者になるのは間違いないと思った。


今後が楽しみなドゥニ・ビルヌーブ監督だが、なんと7月には彼の最新作を見ることができる。

複製された男


再びジェイク・ギレンホールと組んだミステリー。7月18日公開。見るでしょ!


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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

映画 | 16:55:45 | トラックバック(0) | コメント(0)
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