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由紀

Author:由紀
劇場で見た作品のみレビューしてます。

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かぐや姫の物語
高畑勲、史上最凶のエゴイズムの到達点

原題:かぐや姫の物語
製作:2013年 日本、高畑勲監督
声の出演:朝倉あき、高良健吾、宮本信子、地井武男、ほか
レート:★★★☆☆

kaguyahime.jpg

昔々、竹取の翁(=おじいさん)といふものありけり。媼(=おばあさん)もありけり。ある日、おじいさんが山で竹を刈っていると、突如地面から竹がニョキニョキ生えてきたのです。そこには小さな女の赤ちゃんがふんわり優しく微笑んでいました。「こりゃあ、天から授かったお姫様や!」とビビっときたおじいさんは、おばあさんと一緒にその子を育てることにしました。風が吹いては笑い、カエルと一緒にでんぐり返っては笑い、ケタケタ笑うたびに女の子はどんどん大きくなっていきました。「この子は都心で高貴な姫として育てにゃならん!」と、おじいさんは竹から追加で出てきた金を使って都に屋敷を建て、女の子をお嬢様として育てました。そんなお嬢様に都の貴族が、そして帝までもが求婚しますが、お嬢様は首を縦には振りませんでした。そして八月の十五夜、「私は月に帰らなければいけません」と告げ、引き止めるお爺ちゃんお婆ちゃんを置いて、月へ帰って行ってしまったのでした・・。


という、誰もが知る「竹取物語」のストーリーはそのままに、本作は高畑勲監督が「なぜかぐや姫は地球に来たのか?」と「なぜかぐや姫は月へ帰らなければならなかったのか?」という謎に彼なりの答えを出す形で構成した作品である。

見終わった直後は、肝心の謎に対する答えが判然としなかったため、「結局、何であの子は月に帰ったんや!」という消化不良感だけが残った。見たまんま話を追っかけていくと、誰もが知ってる「かぐや姫の物語」そのままだったのだ。

そこで帰宅後、パンフレットの勲ちゃんの解説を読んでようやくその答えを知ることができた。解説を読んでようやく、姫が月で犯した罪、月へ帰ることになったワケ、そして終盤あるおじいさんと子供が湖のほとりで佇む数秒のカットの意味などが分かったのだ。


まず、解説を読まないと理解できなかった自分の想像力と読解力のなさにガックシしてしまった。映画内での説明は決して十分とは言えないものだが、少ないシーンから物語の背後にあるもっと大きなテーマを読み取れなかった想像力と読解力のなさに、情けない思いをしてしまった。

また、この作品を純粋に見るにはあまりに多くの"高畑勲・悪の所業伝説"を読み聞きしてしまっていた。この作品を作るためにどれだけの数の人が泣いたか。現代のビジネスの概念を打ち砕く、採算度外視のスタイルを取った勲ちゃんの暴君ぶりによってどれだけ周りの人間が苦しんだかと思うと、作品を見てても「これに8年か・・、これに50億か・・」ばかりがチラついて、純粋に楽しめなかったのはある。

プロデューサーの西村くんの苦労ぶりは今月発売の「CUT」1月号に詳しい。発案しときながら「私はやりません」と言う勲ちゃんに監督を引き受けてもらう説得に1年半。そこから脚本の完成まで1年半。夏から秋への公開延期のために、普通の映画一本作れるくらいの追加費用(3~4億円?!)。彼の貫かれたスタイルは、美しくも呪われた悪魔の所業だった。

分かっていたことだが、やはり事前情報を入れるのはホドホドにしておきたい。


そんな制作背景への同情の念がようやく消化され、観賞してから数日たち、ようやく今日になってこの作品のもつ深い魅力がジワジワと感じられるようになってきた。脳裏に浮かぶのは優しく吹く風、揺れる草木、バッタやイノシシ、大きな青い空、碧々とした緑に包まれた故郷、といったシーンだ。そんな豊かな自然を育んだ日本という大地への憧憬と愛を謳う劇中のわらべ唄が、今も耳に残る。

やりたいことをやりたいだけやる。お金も締め切りも立場も世間体も関係ありません。物づくりに携わる人間なら誰もが一瞬は夢見たことがある生き方をそのまま貫いてしまった勲ちゃん。

この作品に関しては、8年という時間も、50億円というお金も、評価の物差しにはなりえない、突き抜けた魂が宿っているのだ。

彼にもはや次回作を作ることは許されないだろうが(誰かが許す許さないの話ではなく、今回のような制作環境がもう実現しないだろうという意味で)、この作品は間違いなく100年後の日本に残る映画の一本になるだろう(たぶんね)。



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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

映画 | 17:21:41 | トラックバック(0) | コメント(0)
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