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由紀

Author:由紀
劇場で見た作品のみレビューしてます。

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ある愛へと続く旅
残酷な歴史の片隅で咲き誇った一輪のバラ

原題:Venuto al mondo
製作:2012年 イタリア・スペイン、セルジオ・カステリット監督
出演:ペネロペ・クルス、エミール・ハーシュ、ジェーン・バーキン、ほか
レート:★★★★☆

このところシャンテ率が高くなっています。シャンテ限定今川焼が美味しいよ(高いけど)。

Venuto-al-mondo.jpg

ジェンマ(ペネロペ・クルス)は16歳の息子ピエトロを連れ、旧友が住むボスニア・ヘルツェゴビナはサラエボを訪れていた。ピエトロが誕生したのは1992年のサラエボ。首都にして、ボスニア紛争の激戦地となった街である。彼の父、アメリカ人の写真家ディエゴ(エミール・ハーシュ)は、息子が生まれて数ヶ月後にサラエボで亡くなったと言われている。旧友と息子の3人で、ディエゴが残した紛争時のサラエボの写真が飾られた展覧会を訪れていた。しかし一体なぜ、イタリア人の母とアメリカ人の父をもつピエトロが、戦時中のサラエボに生まれたのか。なぜディエゴは妻と息子をイタリアへ帰らせ、自らは戦時中のサラエボに留まったのか。ディエゴが撮った写真の中にあったバラの花のタトゥは一体誰のもので、なぜ彫られたのか。息子とともに巡るジェンマの旅を通して、観客はこれらの疑問に対する答えを知っていくことになるが・・。


当初、ポスターと邦題を見て、てっきり甘ったるい恋愛モノかと思い込んでいた。しかしそれはまったくの早合点で、戦場となったサラエボで傷つき、苦しみながら生き抜いた一人の女性を描く骨太な作品だった。


この作品が単なる腑抜けた恋愛モノなどではないことは、しょっぱなのオープニングの映像を見て気付かされた。真っ青な海と、船の白い甲板、そしてどこからともなく海面を漂ってくる真っ赤な血。カメラはこの3つの要素を上から捉え、画面を縦に三分割。青色と白色と赤色のコントラストは鮮やかでアーティスティック。しかし、静寂の中をぼんやりと浮かんでくる英題「TWICE BORN」の文字とともに、なにやら不穏な空気が漂い始めるのだ。

物語は、ジェンマが息子を連れてサラエボを巡る現在の旅と、彼の地で生まれた息子の出生にまつわる当時の記憶、2つの時間軸を行ったり来たりしながらストーリーは語られていく。息子の出生にまつわる謎がじょじょに解き明かされていく中で、ジェンマの壮絶な人生とボスニアで起きた悲惨な歴史が語られる。「謎解き」+「人生」+「社会情勢」という3つの異なる要素を一つのストーリーにおさめる見事な脚本と構成になっている。


観賞後しばらくこの作品の余韻が残った。最近あまりなかったことだ。この内戦についてほとんど無知に近かったため、いろいろと調べるほどにジェンマたちの人生がより克明に浮かび上がることになった。物語自体はフィクションだが、'92~'95年に起きたボスニア内戦はバルカン半島における血で血を洗う民族紛争の一ページである。作品中で描かれる当時の極限の状況下での人々の暮らしがリアリティに溢れた演出で描かれている。

当時、一日に300発もの砲弾が市内に打ち込まれる日々が4年間も続いたと言われており、作中でも主人公らの会話の向こうで街に着弾しては爆発する音が常に響いているというシーンが多かった。そして強姦などの非人道的な行為が日常的に行われていたという。こうした蛮行が繰り返されていたという事実もまた、作品の中でジェンマの人生に大きく関わっている。


ジェンマ役のペネロペ・クルスは初めて良い役者だと思った。色っぽいスペインの女優さん程度にしか思ってなかったが、この作品では大学生時代から中年へ齢を重ねていく中で、幸せの絶頂からどん底までを味わい、愛と憎しみ、迷い、赦しといったさまざまな感情を体いっぱいを使って演じている。


久しぶりに"映画を見た"と思える満足の一本。
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

映画 | 13:10:27 | トラックバック(0) | コメント(0)
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