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由紀

Author:由紀
劇場で見た作品のみレビューしてます。

※基本的にネタバレしてます。その点ご留意ください。※

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★★☆☆☆・・・悪くはないけど
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トゥ・ザ・ワンダー
圧巻の映像美に映る人間創造のプロセス

原題:TO THE WONDER
製作:2013年 米国、テレンス・マリック監督
出演:オルガ・キュリレンコ、ベン・アフレック、レイチェル・マクアダムス、ハビエル・バルデム、ほか
レート:★★★★☆

待ちに待ってたテレンス・マリック監督の最新作。宇宙と生命の誕生まで時を遡り、人間という存在の根源を問いかけた前作『ツリー・オブ・ライフ』('11)から2年。今回は、愛という深淵なテーマに唸らされつつ、前作に続きマリックの素晴らしい映像美に酔いしれた。

to-the-wonder-movie04.jpg

10才の娘と共にパリで暮らすマリーナ(オルガ・キュリレンコ)は、アメリカから旅行で訪れていたニール(ベン・アフレック)と出逢い、恋に落ちる。静謐なモン・サン=ミシェルの院内を歩きながら、互いの存在を確かめるように触れ合う美しい二人のシーンから物語は始まる。それぞれ過去の辛い記憶を乗り越え、互いを運命の相手と認め、幸福を噛み締めるように過ごしていた。

それから2年、ニールとマリーナとその娘はオクラホマ州の小さな田舎町に移り住み、穏やかに暮らしていた。しかし、徐々に互いの気持ちにズレが生じ始める。地元の製錬施設が引き起こす環境汚染の実態を調べる調査員としての仕事が軌道に乗っていたニールと、結婚を望むも足踏みが続いていることや娘がホームシックになっていることで、不安にさいなまれるようになっていたマリーナ。やがて二人は別れ、マリーナは娘を連れてパリへと戻る。

そんな折、ニールは幼なじみのジェーンと再会し、恋に落ちる。昔から互いをよく知る間柄の二人は関係を深めるが、長くは続かなかった。風の便りで、マリーナが娘と離れ離れになってしまい、辛苦の日々を送っていることを知ったニールは、彼女を再びアメリカへ呼び寄せ、一緒に暮らし始める。ようやく婚姻関係が結ばれたものの、二人の間の子供を持つかどうかの悩みがマリーナを孤独にさせ、二人の関係はギクシャクし始める。

苦悩するマリーナは行きずりの男と不貞を働いてしまい、それを知ったニールは怒り嘆く。なんとか彼女のを許そうと試みるが、結局、別れを選ばざるをえなかった。二人の間に流れていたはずの時間と愛。永遠に続くと思っていたそれはやがて消え、二人はそれぞれの人生を歩んでゆくことになる・・。

to-the-wonder-movie02a.jpg

・メッセージ
終演後、隣席の中年夫婦がポツリ、「難しくてよく分かんなかったね・・」。確かに難しい。この作品でテレマリが伝えようとしていることは一言やニ言で表せない。そりゃそうだ。人間の愛とか信仰とか、一言で定義できるものではないのだ。

作中では(上記のあらすじには含めていないが)この二人の関係に加えて、神父キンタナ(ハビエル・バルデム)が、神の存在と、神父としての使命に迷いを持つ役柄として登場する。こうした信仰的な要素も加わって、「人間と愛と神」と、テーマはより観念的なものになっている。

詩的で感覚的。説明台詞も最低限。ひたすらそばに寄り添うカメラを通して、キャラクターの感情の動きを映し出す。感情の動きをつなげてストーリーを構成し、テーマをあぶり出す。神は人間を創造し、感情を持たせた。感情は変化する。愛情はうつろう。そうした変化は、神が人間を創造するプロセスの途中であるかのようだ。そんなことを言っている気がする。

to-the-wonder-movie03.jpg

・演出/映像
まず、テレマリの魔法のような光の演出は、今回も顕在。

マジックアワーの時間帯を利用して、天国チックな世界を演出している。

To-The-Wonder-pic-2-628x356.jpg
アメリカの広大な大地と空に自由を感じるマリーナ。


そして自然光をそのままに使い、射し込む太陽光がスクリーンに温かみと幻想的な雰囲気を生み出している。2つ上のニールとマリーナのツーショットも、レフを使わずに自然光のみで。浮かび上がる二人のシルエットが美しい。

To_the_Wonder_Terrence_Malick_00.png
テレマリのオハコショットである木漏れ日ショット。

To-the-Wonder-1.png
地平線に沈む太陽に向かって歩くマリーナ。逆光でも構いまへん。



あと、強く印象に残っているのが、手のショットから入るカットが非常に多かったこと。

たとえば、腰の辺りにダランと下ろしているマリーナの手(手の甲や手のひら)が映し出され、そこから上半身、顔へとパンアップしていくという具合。

途中でそのことに気付いてからは、かなりこの撮り方を多用していることに気付いた。絡み合う二人の手から二人の顔へ移動していったり、机や窓にそっと置いている手から顔へ移動していったり。

日本語でも"たなごころ"などと呼ばれる手は、人間のあらゆる意思を象徴するようなもの。キャラクターの内面を表現するために意図的に手のクロースアップから入るようにしているのかもしれない。


・キャスト
オルガ・キュリレンコが非常に美しく撮られている。この作品は彼女の素の美しさと演技力のおかげで形になっていると言ってもいい。

venecia1--644x362.jpg

脚本は無く、テレマリが口頭で話すキャラクター像、世界観、イメージを聞いて、俳優は思うがままに演じる。立ち位置もなければ、照明やカメラへの視線を外す意識もない。スタートはかかるが、カットがいつかかるか分からず、自由に動いていい。カメラは追ってくるかもしれないし、追ってこないかもしれない。非常にリスキーで常識はずれの手法だが、演じる側にとってはとても俳優冥利に尽きる手法ではないだろうか。

ただそれだけに、テレマリは俳優陣に常にそのキャラクターになりきっていることを求め、俳優も数ヶ月に渡ってその役柄に入っていなければならない厳しさがある。このような要求に応えられる俳優を選ぶべく、キャスティングには相当配慮がなされているはずだ。

キュリレンコは『慰めの報酬』('08)ではほんとパッとしなかったのに、今年の『オブリビオン』といい、大出世だ。作品は運とか巡りあわせもあるだろうが、30代になって美しさを増したのは間違いない。デコレーションは一切排除され、生身のむき出しの人間そのままをさらけ出すような演技が求められる今作は、30代になって素っぴんの自分を獲得できた彼女だからこそ巡り会え、演じきることができた作品なのだろう。


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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

映画 | 10:34:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
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