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由紀

Author:由紀
劇場で見た作品のみレビューしてます。

※基本的にネタバレしてます。その点ご留意ください。※

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インポッシブル
カメラのフレームの外の重すぎる現実

原題:Lo Imposible
製作:2012年 スペイン・米国、J・A・バヨナ監督
出演:ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガー、トム・ホランド、ほか
レート:★★★★☆

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外科医のマリア(ナオミ・ワッツ)は、夫ヘンリー(ユアン・マクレガー)と3人の子どもたちとクリスマス休暇でタイのリゾート地カオラックを訪れていた。子煩悩な愛する夫と、奔放に育っている子どもたちと過ごすエキゾチックな土地での温かいクリスマスは、何物にも代えがたい幸せなひとときだった。しかしある日、スマトラ島沖で発生した地震に伴う巨大津波がカオラックを襲う。洪水に飲み込まれ、大怪我を負いながらもなんとか生き残ったマリアと息子の一人、ルーカス。残りの家族の行方は分からず、辿り着いた地元の病院は津波被害の患者で溢れかえる中、マリアの身体は徐々に衰えていくのだった・・。

・メッセージ
予告は、U2の"ONE"をBGMに、「津波を生き延びたとある一家を描いた泣けるファミリードラマです」的な感動を売りにした宣伝素材にされているのだが、本編はそんな甘っちょろいレベルではなく、暴力的なまでに猛威を振るう自然の恐ろしさと人間の無力さ、生への執着とそれを支える人の絆のもつ力を訴える、非常にリアルで生々しく、力強い一本に仕上がっていた。

ただ一方で、この作品を他の映画作品と同じ目線で評価するには、私たちが経験した2年前のあの日からまだ日が浅すぎるとも思えた。そのくらいこの作品は、自然が突きつける残酷な試練や被災した土地と人間たちが直面する恐怖をリアルに再現しており時に直視していられない映像さえもある)、あの日を境に変化した日本に生きる自分にとって、この作品を一つの商業映画として見ることはまだ難しい、と感じた。

ネットやテレビでの本作の宣伝文句は「感動」、「勇気」、「愛」といった言葉でデコレートされているが、そうした眩しい言葉だけでは本作を捉えられない。もちろん商業映画としてそういう要素を含んでいていいのだが、少なくとも私にはそうした絆創膏のような言葉で傷口を塞いで、奔放に涙を流せるほど今の日本はまだあの日から立ち直れていないような気がしている。

本作の家族はラスト、スイスの保険会社のケアを受け、シンガポールの病院で最新の治療を受けるべく専用機でタイを離れるのだが、その家族の背後には、地元の病院で満足な治療を受けられない者、家族を探し続ける者がいて、失ったものと向き合っていかなければならない地元の人たちがいることを私たちは知っている。家族の奇跡の再会に涙するには、カメラのフレームの外の現実が重すぎるのだ。

・演出/映像
この映画が、地震や津波による災害を受けた国、そうでない国のすべての人々に見てもらうに値する、そうたらしめているのは、ひとえに製作陣の実際に被災した家族への敬意と真摯な想いからなっている(この映画は実際にスマトラ沖地震で被災したスペイン人家族の話を元にしている)。

とにかく驚かされたのは映像のリアリティ。実写とCGの区別がまったくつかない。限られた予算の中でこの物語を忠実に再現すべく、津波の第一波がホテルを襲うシーンは精巧に作られた1/3スケールのミニチュアと実写合成を活用している。その後の返す波の第二波で、水中を建物の破片や流木で身体が刻まれながら流されるシーンはさすがに危険を伴うためバルセロナのCG会社「Fassman」によって制作されたVFXが使われている。

そして、濁流に流されるシーンは、スペイン郊外の広大な敷地に60m×15m級の巨大なプールを製作し、そこで毎秒350リットルの大量の水を流して撮影されている。最善の安全策が取られているとはいえ、ものすごい速さで流れる濁流の中で演技をするナオミ・ワッツを見て、ハリウッドの一流女優はここまでやるかと唸らされた。また同じく洪水に飲み込まれるシーンを撮影したルーカスことトム・ホランド(撮影時は15歳くらい)にも驚かされた。メイキングを見るとどう見ても子供が溺れているようにしか見えないほど危険極まりない撮影だ。

before_1678.jpg
撮影時

after_1678.jpg
完成版

スタントがこなしている部分もあるだろうが(ナオミ用のスタントはまだしも、子供用のスタントなんているのか?)、水面に顔を出すシーンがほとんどなので俳優自ら挑んでいるのは間違いない。

・キャスト
ナオミ・ワッツがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたのは頷ける演技。そして傷を負った母親を守ろうとどんどん成長していくトム・ホランドにも脱帽。


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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

映画 | 11:52:11 | トラックバック(0) | コメント(0)
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