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由紀

Author:由紀
劇場で見た作品のみレビューしてます。

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ダニエル・デイ・ルイスに見る、ウケるスピーチの3つの要素
先日のアカデミー賞授賞式。

数々の受賞スピーチの中で、もっとも笑いと喝采をさらったのが、主演男優賞のスピーチをしたダニエル・デイ・ルイスだ。

つい最近『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』('07)を見るまで俳優としての彼をほとんど知らず、ましてトークショーなどのメディアで素の彼を見ることなど全くなかった。三度もオスカーを受賞している人なので、寡黙で真面目な人なのだろうくらいのイメージだった。

聴衆のノリのいいアメリカでさえも、アカデミー賞のようなかしこまった授賞式では、ほとんどのスピーカーがスベるもの。しかしそんな中、どのスピーカーよりもユーモアに富み、会場の笑いを誘い、しかしきちんと自分を支えてくれる人々への感謝の気持ちを表せていたのが、ルイスその人だった。

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I really don't know how any of this happened. I do know that I've received so much more than my fair share of good fortune in my life and I'm so grateful to the Academy for this beautiful honor.
(本当にどうしてこんなことになったのか分かりません・・。分かっているのは、私の人生は本当に幸運に恵まれているということです。このような素晴らしい栄誉をいただけたことをアカデミー協会に感謝いたします。)

まず落ち着いたトーンで定型の挨拶をして興奮した会場の雰囲気を落ち着かせ、聴衆を"聴くモード"に。


It's a strange thing because three years ago before we decided to do a straight swap, I had actually been committed to play Margaret Thatcher. [Laughs] And Meryl was Steven's first choice for Lincoln. And I'd like to see that version. And Steven didn't have to persuade me to play Lincoln but I had to persuade him that perhaps if I was going to do it that Lincoln shouldn't be a musical.
(おかしなことに、3年前、交換しましょうということになる前・・、実は私がマーガレット・サッチャーを演じることになっていたんです。(会場笑)スティーブンにとってメリルが、リンカーンの第一候補だったんです。是非そのバージョンを見たかったですけどね。リンカーンを演じるにあたって、スティーブンは私を説得する必要などなかったんですが、私が彼を説得する必要があったんです。「『リンカーン』はミュージカルにすべきじゃないです」ってね。)

前段落の終わりから一呼吸(3秒ほど)間を空けて始まったこの段落。話している表情は大真面目。ただ、"a strange thing"(おかしなことに)で聴衆に「話のトーンを変えますよ」とメッセージを送る。"do a straight swap"(交換した)と言った後に少しタメを入れて、聴衆の頭に「何を??」を浮かばせグッと関心を引き寄せる。そして、ジョークをかます。

メリルが前年『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』('11)で英国首相サッチャーを演じていたこと、その演技で主演女優賞を受賞していたこと、そのメリルが今回の主演男優賞のプレゼンターだったこと、英国首相と米国大統領の対比。みんなが当然のように知っていることを利用して、ジョークにしている。おまけに、『レ・ミゼラブル』を意識したジョークを最後に添えて。

印象的なのは、ウケ狙ってどや顔をするでもなく、まくし立てて話し続けるでもなく、ちゃんと会場と呼吸を合わせて話をしていたこと。笑いがジワジワ来ているときはしっかり間を取り、ジョークのくだりはスパっと速く言い切ってしまう。やはり「空気を読む」のは大事ということ。

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My fellow nominees, my equals, my betters, I'm so proud to have been included as one amongst you. When we got married 16 years ago, or since we got married 16 years ago, my wife Rebecca has lived with some very strange men. I mean they were strange as individuals and probably even stranger if taken as a group. But luckily she's the versatile one in the family and she's been the perfect companion to all of them.
(今回の候補者のみなさん、同僚であり、先輩でもあるみなさん、あなた方の一人に加われたことをとても誇りに思います。16年前に結婚した時・・、その、この16年間の結婚生活で、私の妻であるレベッカはある意味とても変わった男たちと暮らしてきました。個々の人間としても変なのに、その集まりとなればさらに変なことだったでしょう。ただ幸運なことに、彼女は家族として、そうした男たちにうまく合わせて生活してくれました。)

主演男優賞の候補者への配慮をはさみ、妻への感謝の言葉へと移る。監督や共演者など製作チームへの感謝を先に述べ、最後に家族への感謝を述べる人が多い中、彼はまっさきに妻への感謝を表しています。よほど愛しているか、よほど弱みを握られているか(笑)みなさんだったらどうします?

I'd like to thank Kathy Kennedy, our producer, and through you, Kathy, and through you our mighty team of co-conspirators. At the apex of that human pyramid there are three men to whom I owe this and a great deal more: Tony Kushner, our beloved skipper Steven Spielberg and the mysteriously beautiful mind, body and spirit of Abraham Lincoln. For my mother, thank you so much.
(我々のプロデューサーであるキャシー・ケネディに感謝します。キャシー、君を通して僕らの素晴らしい"共謀者"であるチームに感謝を述べたいと思います。また、数多くの人たちの中で、もっとも感謝を捧げたい3人がいます。トニー・クシュナー、我々の愛する指揮官、スティーブン・スピルバーグ、そして神秘的で素晴らしい精神、肉体、魂をもつエイブラハム・リンカーン。この賞を私の母に。本当にありがとう。)

ここで共演者、製作チームへの謝辞。最後はしっかり締めて、好印象を残す。



かしこまった場のスピーチで笑いをとる難しさは洋の東西を問わないようで、誰もが痛い経験の一つや二つをしているのではないだろうか。

ルイスがマイクの前で話したたった5分ほどの時間は、多くの人たちにとって、"感謝"と"笑い"と、"ちょっとした感動"が伝わる、素晴らしいスピーチとなり、とても勉強になった。
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テーマ:映画情報 - ジャンル:映画

映画 | 12:23:02 | トラックバック(0) | コメント(0)
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