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由紀

Author:由紀
劇場で見た作品のみレビューしてます。

※基本的にネタバレしてます。その点ご留意ください。※

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★★★★☆・・・オススメ!
★★★☆☆・・・一見の価値はあり
★★☆☆☆・・・悪くはないけど
★☆☆☆☆・・・私は薦めない

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世界にひとつのプレイブック
狂った世界で見つけた希望の光

原題:Silver Linings Playbook
製作:2012年 米国、デヴィッド・O・ラッセル監督
出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ほか
レート:★★★★★

昨夏、予告編をみて一目惚れ。以来、ずっと日本公開を心待ちにしていた作品。冬になり、やがて続々と各賞にノミネートされていく。待ちきれず原作を読むも、半分くらいまで来たところで「オチまで読むと映画がつまらなくなるかも」と思って中断。年が明けると、アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞・編集賞・女優/男優の主演・女優賞の計8部門にノミネートされた31年ぶりの作品として、いよいよ評判も知名度も最高潮に。さて、中身は。

Silver-Linings.jpg

妻の浮気が原因で心のバランスを崩し、家庭も仕事もすべてを失ったパット(ブラッドリー・クーパー)。今は実家で両親と暮らしながら、社会復帰を目指してリハビリ中。そんなとき出逢ったのが親友の義妹ティファニー(ジェニファー・ローレンス)。彼女も夫を事故で亡くしてから心に傷を抱えていた。ティファニーは自分もパットも立ち直るためにダンスコンテストへの出場が必要と考え、パットを強引にパートナーに任命するが・・。

・メッセージ
何かがきっかけで人生につまずき、それまで見えていた景色が180度変わって見える。ハンデを背負うことで世の中から"外れたもの"と見られても、この狂った世の中では、その"外れたもの"が実はもっともまともだったりする。

主人公が抱える精神的な症状が描かれる前半。「笑って泣ける」と喧伝されている本作だが、あまり笑えるものではない。逆に胸が締め付けられるような思いがした。"ブラックジョーク"だと受け流すにはあまりに主人公パットの姿が痛々しい。

とはいえ悲壮感漂う単純な"病気克服ストーリー"になっていないのは、彼同様、いや彼以上に狂った連中が周りにいるから。病にかかっているのは彼ではなく、社会の方なのでは?世界は見方によってまったく異なる。

パットと出逢うティファニー。彼女もそんな"おかしな"一人にしているのがこの作品の肝。ハンデをもつ主人公を支えるハンデを持たないパートナーの献身が愛を生むよくあるステキ話ではなく、"おかしな"二人が触れ合いぶつかり傷つけ合うことで、二人にとっての希望の光を見つけていくという話。

・演出/映像
原作の持つテーマは変えず、大切な要素を抽出して映像化する、いわゆる脚色がうまく成功している。たとえば、原作では父親との関係がもう少しシリアスに深く描かれているが、映画ではそのどこかギクシャクした父子関係はそのままに、ややユーモアを入れて軽めにしている。配役にデ・ニーロを当てることで、ユーモアと重みの両方を彼の演技でバランスよく表現できると踏んだのだろう。

重めだった前半に比べ、作品は後半に向かうにつれて雰囲気は変わり、ラブロマンスの定型に収まっていく。その中でも画的な最高の見せ場はやはり、二人が参加した社交ダンス大会のシーン。二人が見せるダンスは下手くそだが、エロくて弾けていて輝いている。ついジェニファーのボディに釘付けになってしまうが、彼女はしっかりダンスの中にティファニーとしての芝居を入れているので見逃さないよう。

・キャスト
そのダンス大会からラストシーン。ティファニーは最初から最後までティファニーを貫けていたが、パットはそこで、イケメン・ブラッドリー・クーパーが顔を覗かせた。そこだけがやや残念か。だって最後に、こんな歯の浮くような台詞を言うんだもの。

The only way to beat my crazy was by doing something even crazier. Thank you. I love you. I knew it from the moment I saw you. I'm sorry it took me so long to catch up.
(おかしな自分に打ち勝つには、もっとおかしなことをするしかなかった。ありがとう。愛してる。最初に君に会った時から分かってた。時間がかかってごめん。)

臭すぎるロマンチック台詞だが、クレイジーなこの世界で痛々しくも面白おかしく叫び続けたパットだからこそ見つけられた真実(愛)なのだ。本作の重要なテーマがこの一言に表れている。

見つめられてこんな台詞を言われても、ティファニーはティファニーになっていて、ジェニファー・ローレンスは間違いなく受賞するであろうアカデミー主演女優賞に値する演技をしていた。相も変わらずの仏頂面だが、この役はまさに彼女のはまり役と言える。22歳で主演女優賞とは末恐ろしい。

slp-jennifer-lawrence.jpg

『ハンガー・ゲーム』の続編公開が控えているが、ああいうアイドル映画みたいなのはあれで卒業していいのではないだろうか。

最後に監督、デヴィッド・O・ラッセルについて。観賞後にこの作品が作られる経緯を詳しく知った。かつて、作品の撮影時に彼の激しい言動から俳優陣・スタッフらを怒らせたことが続いたことで、長年、業界で仕事を干されてしまったこと。そんな時に、麻薬や暴行でぶち込まれていた経験を持つマーク・ウォールバーグが、「人生にはセカンドチャンスがあっていい」と、自身が製作・主演する『ザ・ファイター』('10)の監督に抜擢してくれたこと。その『ザ・ファイター』の前から、シドニー・ポラックとアンソニー・ミンゲラから本作の映画化の話をもらっていたが制作費の都合がつかず、実現を前に、それぞれ’08年に相次いで病で他界してしまったこと。そして、かつて彼自身の息子が精神的な病を抱えていたことで、病を抱える者とその周囲にいる人間たちの話をテーマにした本作こそ、彼のパーソナルな痛みから生まれた作品であったこと。

1682440.jpg

オスカーレースでは、作品賞と監督賞については「大穴」的な位置づけ。受賞は難しいかもしれないが、十分彼の力量は示せた。ストレートではない、ちょっと癖のある表現をする監督。次回作『Nailed』(ジェイク・ギレンホール、ジェシカ・ビール主演、公開未定)が楽しみだ。

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普通に見ると、星は3つくらいの作品かもですが。考えてたらいろいろと乗っかっちゃったので、久しぶりに5つとします!
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

映画 | 10:03:24 | トラックバック(0) | コメント(0)
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